業務改善助成金2026の対象者・助成額・申請方法
2026年度の業務改善助成金について、対象となる事業場、50円・70円・90円コース、最大600万円の条件、助成率、対象経費、9月1日からの申請手順を公式資料で解説します。
この記事でわかること
- 事業場内最低賃金を50円以上引き上げ、生産性向上に役立つ設備投資等を行う中小企業・小規模事業者向けです。
- 2026年度の申請受付は9月1日からで、地域別最低賃金発効日の前日または11月30日の早い日が申請期限です。
- 助成額は対象経費に助成率を掛けた額と、コース・人数別の助成上限額のうち低い方です。
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業務改善助成金の対象になる3条件
業務改善助成金は、事業場内で最も低い時間給を引き上げ、生産性向上や労働能率の増進につながる設備投資等を行う事業者を支援します。単なる設備購入支援ではなく、賃上げと業務改善を一体で行う制度です。
2026年度は、中小企業・小規模事業者でみなし大企業ではないこと、申請する事業場内最低賃金が令和8年度の地域別最低賃金未満であること、解雇や賃金引下げなどの不交付事由がないことが主な対象条件です。
申請は会社全体ではなく、工場や店舗、事務所など労働者がいる事業場ごとに行います。従業員がいない事業者は、引き上げる事業場内最低賃金がないため対象になりません。
| 条件 | 確認内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 企業規模 | 中小企業・小規模事業者である | みなし大企業は対象外 |
| 賃金水準 | 事業場内最低賃金が令和8年度地域別最低賃金未満 | 事業場単位で確認 |
| 労務状況 | 解雇、賃金引下げ等の不交付事由がない | 申請前後の状況も確認 |
| 労働者 | 賃金を引き上げる従業員がいる | 従業員ゼロは対象外 |
2026年度の申請期間と実施期限
2026年度の交付申請は2026年9月1日から始まります。申請期限は、申請事業場に適用される地域別最低賃金の発効日の前日または2026年11月30日のいずれか早い日です。
賃金引上げも9月1日以降に行い、地域別最低賃金の発効に対応して引き上げる場合は発効日の前日までに実施します。複数回に分けた事業場内最低賃金の引上げは認められません。
納品、支払い、賃金引上げのうち最も遅い日が事業完了日です。原則として、これらを交付決定年度の1月31日までに終える必要があります。やむを得ない理由がある場合は、事前の理由書提出により3月31日までの延長が認められることがあります。
| 項目 | 時期 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 申請受付開始 | 2026年9月1日 | 見積・賃上げ計画を先に準備 |
| 申請期限 | 最低賃金発効日前日または11月30日の早い日 | 都道府県ごとに日付が異なる |
| 賃金引上げ | 9月1日以降、原則として発効日前日まで | 就業規則等も同額へ改定 |
| 事業完了 | 原則1月31日 | 納品・支払・賃上げをすべて完了 |
9月1日より前の賃上げは2026年度分の対象外
2026年度分は申請受付と賃金引上げ期間が9月1日から始まります。前年制度のスケジュールを流用せず、申請する年度の交付要領に合わせて実施日を決めます。
申請期限は都道府県ごとに変わる
地域別最低賃金の発効日は都道府県で異なります。11月30日だけを締切として管理せず、事業場所在地の発効日の前日を先に確認します。
賃上げは発効日前日に間に合わせる
地域別最低賃金の改定に対応して事業場内最低賃金を上げる場合、発効日当日では遅く、前日までの引上げが必要です。就業規則等の適用日も同じ額で整えます。
納品・支払・賃上げの最後の日が事業完了日
設備が届いても代金の口座引落しが翌年度になれば、原則の完了期限を越える可能性があります。納期だけでなく支払条件まで見積段階で確認します。
助成上限は賃上げ額と人数で決まる
2026年度は、事業場内最低賃金を50円以上、70円以上、90円以上引き上げる3コースです。助成上限額はコースと引き上げる労働者数、事業場規模30人未満かどうかで変わります。
最大600万円は、90円コースで10人以上の賃金を引き上げる特例事業者に適用される上限です。どの申請者も600万円を受け取れるという意味ではありません。
助成率は、引上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満なら4/5、1,050円以上なら3/4です。実際の助成額は、対象経費に助成率を掛けた額と助成上限額を比べ、低い方になります。
| コース | 引上げ人数 | 30人未満の事業場 | それ以外 |
|---|---|---|---|
| 50円 | 1人 | 30万円 | 40万円 |
| 70円 | 2〜3人 | 50万円 | 100万円 |
| 90円 | 2〜3人 | 150万円 | 240万円 |
| 90円 | 8人以上 | 450万円 | 450万円 |
| 90円 | 10人以上の特例事業者 | 600万円 | 600万円 |
50円コースは小規模な賃上げから検討できる
事業場内最低賃金を50円以上引き上げるコースです。30人未満事業場で1人を引き上げる場合の上限は30万円で、人数に応じて上限が上がります。
70円コースは人数による上限差が大きい
2〜3人を引き上げる場合、30人未満事業場は50万円、それ以外は100万円です。企業全体の人数ではなく、申請する事業場の規模を確認します。
90円コースの600万円には特例要件がある
10人以上区分は特例事業者のみが対象です。単に10人の賃金を90円上げれば600万円になるわけではなく、助成対象経費と助成率による計算も行います。
助成額の計算例
事業場内最低賃金が1,030円の30人未満事業場で、2人を70円引き上げ、対象経費120万円の設備を導入する例を考えます。助成率4/5を掛けた額は96万円です。
70円コースで2〜3人、30人未満事業場の助成上限は50万円なので、この例の助成額を考える基準は96万円ではなく50万円です。残る設備費や対象外経費、消費税は事業者負担になります。
反対に対象経費が40万円なら、4/5は32万円です。上限50万円を下回るため、基準は32万円となります。採択や支給を保証する試算ではなく、公募要領に沿った対象経費と実績報告の確認が前提です。
対象経費は生産性向上とのつながりで判断する
対象になり得るのは、機械設備の導入、業務フロー改善のためのシステム、コンサルティングなど、生産性向上や労働能率の増進に役立つ経費です。価格が高い設備でも、作業時間の短縮や負担軽減を説明できなければ対象になるとは限りません。
飲食店の食器洗浄機、製造業の包装機、介護事業所のリフトなどは考え方を説明しやすい例ですが、実際の対象可否は事業内容と申請書の計画で判断されます。現状の作業時間、導入後の時間、対象従業員、賃上げとの関係を数値で示します。
パソコン、スマートフォン、タブレット等は通常当然に対象になるわけではありません。2026年度は、物価高騰等要件に該当する特例事業者について、新規導入が認められる場合があります。
| 項目 | 記載例 | 証拠 |
|---|---|---|
| 現状 | 1日2時間を手作業に使用 | 作業記録、工程表 |
| 導入内容 | 自動包装機を1台導入 | 見積書、仕様書 |
| 改善効果 | 作業を1日40分へ短縮見込み | 試算根拠、対象業務 |
| 賃上げ | 対象2人を時間額70円引上げ | 賃金台帳、改定後の就業規則 |
機械設備は削減できる作業を特定する
厨房機器や包装機を申請する場合は、導入前の工程、担当人数、所要時間を記録します。「効率化できる」ではなく、どの作業を何分削減するかまで示します。
システム導入は対象業務と利用者を示す
予約、在庫、勤怠などのシステムは、現状の二重入力や集計時間と導入後の運用を比較します。汎用的な利用や私用との区分も必要です。
パソコン等は特例事業者でも新規導入が条件
物価高騰等要件に該当しても、買替えや単なる更新が当然に認められるわけではありません。新規導入と生産性向上の関係を公式資料で確認します。
申請から入金までの流れ
最初に、事業場内最低賃金、引き上げる労働者、引上げ額を確定します。次に、業務改善効果を説明できる設備を選び、相見積もりなど必要な価格資料と事業実施計画を整えます。
交付申請後、交付決定を受けてから計画どおりに設備を発注・導入し、賃金を引き上げます。申請前や交付決定前の発注・購入は、対象外となる可能性が高いため避けてください。
納品、支払い、賃金引上げが終わったら事業実績を報告します。労働局の確認を経て助成額が確定するため、設備代金は原則として先に支払う資金計画が必要です。
- STEP1
準備
- 実施内容
- 賃金と設備の計画を作る
- 残す資料
- 賃金台帳、見積書、効果試算
- STEP2
交付申請
- 実施内容
- 事業場を管轄する労働局へ申請
- 残す資料
- 申請書、提出控え
- STEP3
交付決定後
- 実施内容
- 発注・納品・支払・賃上げ
- 残す資料
- 契約書、請求書、振込記録、就業規則
- STEP4
実績報告
- 実施内容
- 計画どおりの実施結果を報告
- 残す資料
- 設備写真、賃金台帳、出勤簿
- STEP5
支給
- 実施内容
- 審査後に額が確定し入金
- 残す資料
- 支給決定通知
申請でつまずきやすいポイント
地域別最低賃金の発効後に、その額へ合わせるだけの賃上げでは期限に間に合いません。申請と賃金引上げの両方を発効日の前日までに終える必要があるため、地域別最低賃金の公表後すぐに日程を確定します。
引き上げる労働者数は、単に賃上げする全従業員数ではありません。事業場内最低賃金の労働者と、その賃上げにより賃金額が追い抜かれる労働者のうち、申請コース以上引き上げる人を数えます。
設備の納品日だけでなく、銀行振込日やカードの口座引落日も期限内である必要があります。取引先の納期が遅れる可能性を考え、1月31日ぎりぎりの発注計画は避けてください。
手続きを進めるポイント
- 従業員がいないのに申請対象と考えた
- 交付決定前に設備を発注した
- 対象人数を全従業員数で数えた
- 地域別最低賃金の発効日後に賃上げした
- 納品済みでも支払いが事業完了期限を越えた
特例事業者の2つの要件
2026年度の特例事業者には、申請事業場の事業場内最低賃金が1,050円未満である賃金要件と、原材料費高騰など外的要因により申請前6か月平均の利益率が前年同期比で3%ポイント以上低下している物価高騰等要件があります。
10人以上区分は特例事業者が10人以上を引き上げる場合に利用できます。パソコン等の経費拡充は物価高騰等要件に該当する事業者が対象であり、特例の内容を混同しないでください。
申請時に準備する主な書類
交付申請では、申請書、事業実施計画、賃金引上げ計画、事業場内最低賃金を確認する賃金台帳、設備の見積書、企業規模や特例要件を示す資料などを準備します。
見積書の商品名と計画書の設備名をそろえ、型番、数量、税抜・税込、納期、支払条件を確認します。相見積もりや理由書が必要かは申請マニュアルで確認してください。
紙申請とJグランツ申請の違い
紙で申請する場合は、事業場所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部室へ提出します。窓口や郵送の受付条件、必着か消印有効かを事前に確認します。
電子申請にはJグランツとGビズIDプライムを使用します。2026年度分の公開状況は厚生労働省ページで確認し、ID未取得なら申請開始前に準備してください。
業務改善助成金のよくある質問
個人事業主でも、中小企業・小規模事業者の範囲と事業場の要件を満たせば対象になり得ます。ただし、従業員がいない場合は対象外です。
助成上限600万円は全申請者の共通上限ではありません。90円コース、10人以上の賃上げ、特例事業者という条件を満たす場合の区分です。
電子申請にはJグランツを利用できます。厚生労働省ページでは2026年度交付申請の電子申請公開時期を別途案内するとしているため、申請時点の案内を確認してください。
個人事業主も申請できますか
法人格ではなく、中小企業・小規模事業者の範囲、労働者の在籍、事業場内最低賃金などで判断します。従業員のいない個人事業主は対象外です。
設備費が600万円なら全額助成されますか
全額助成ではありません。対象経費へ3/4または4/5を掛けた額と、自社のコース別上限額を比べ、低い方が基準です。
中古設備や車両も対象ですか
設備の種類だけで一律に判断できません。対象経費の範囲、価格の妥当性、生産性向上との関係を申請年度の要領と労働局へ確認します。
申請前チェックリスト
- 申請事業場に雇入れ後6か月を経過した労働者がいる
- 事業場内最低賃金が令和8年度地域別最低賃金未満である
- 50円・70円・90円のどのコースで何人を引き上げるか決めた
- 設備による作業時間短縮や負担軽減を数値で説明できる
- 交付決定後に発注し、原則1月31日までに支払える
- 都道府県ごとの地域別最低賃金発効日前日を確認した
次に確認するページ
公式情報・出典
制度内容や日程は改定される場合があります。申請前に最新版をご確認ください。
