補助金・助成金の不正受給とは【2026年】返還・加算金・罰則と防止策
補助金・助成金の不正受給に当たり得る虚偽申請、架空取引、水増し、キックバック、虚偽の勤怠・賃金、二重計上を解説。取消・返還・加算金・延滞金・公表・申請制限・刑事責任を制度別に整理します。
この記事でわかること
- 不正受給は、対象者、取引、支払い、雇用、勤務、訓練等について偽りその他不正の行為を行い、本来受けられない補助金・助成金を受ける、または受けようとすることです。
- 国の補助金、雇用関係助成金、自治体補助金、給付金では根拠法令・交付規程が異なります。返還、加算金、延滞金、20%相当額、5年間の不支給措置等を全制度共通と考えてはいけません。
- 誤りに気付いたら資料を修正・廃棄せず、事実と金額を整理して制度事務局へ連絡します。申請代行者や販売会社が作った内容でも、申請者が事実と一致するか確認する必要があります。
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補助金・助成金の不正受給とは
不正受給とは、受給要件を満たさないことや、申請内容と実態が異なることを認識しながら、虚偽の申請、架空の取引、書類の改変等によって補助金・助成金を受ける、または受けようとする行為です。実際に入金される前でも、不正な手段で申請した段階が制度上の措置対象になる場合があります。
厚生労働省は雇用関係助成金について、事業主等が偽りその他不正の行為により本来受けられない助成金の支給を受け、または受けようとすることを不正受給としています。代表者だけでなく、役員、従業員、代理人等の申請関係者が不正を行った場合も、事業主等の不正とみなすと案内しています。
一方、入力誤り、対象外経費、期限超過、未承認変更がすべて同じ意味での不正受給になるとは限りません。不支給、減額、交付決定取消、返還、不正受給認定のどれに当たるかは、故意性、内容、影響、制度資料、調査結果によって判断されます。申請者が自己判断で「単なるミス」と決めることも、「不正だ」と断定することも避けます。
受給前でも不正な申請は問題になる
雇用関係助成金の公式定義は、支給を受けた場合だけでなく、受けようとした場合も含みます。審査で見つかって入金されなければ問題がない、とは考えないようにします。
不正受給と不適正・誤りを社内だけで分類しない
誤りを見つけたときは、誰が、いつ、どの資料を基に、何を記載し、支給額へどう影響したかを整理します。分類と対応は制度事務局の指示を受け、必要に応じて弁護士、税理士、社会保険労務士へ相談します。
不正受給に当たり得る典型的な行為
典型例は、申請資格の偽装、架空取引、経費の水増し、自己負担の還流、虚偽の雇用・勤務・賃金、同一経費の重複申請、成果物や実施実績の偽装です。書類の形式が整っていても、取引や勤務の実態と一致しなければ問題になります。
また、交付決定後に承認された用途と異なる支出を行う、補助事業用の設備を無断で売却する、実績報告で値引きや返金を隠す等も、返還や取消等につながり得ます。申請時だけでなく、事業実施中・実績報告後・入金後も適正な管理が必要です。
| 類型 | 具体例 | 照合する一次記録 |
|---|---|---|
| 申請資格の偽装 | 資本金、従業員数、創業日、所在地、雇用関係等を偽る | 登記、雇用契約、賃金台帳、納税・許認可資料 |
| 架空取引 | 存在しない設備・外注・研修の請求書を作る | 契約、納品、成果物、稼働記録、振込 |
| 経費の水増し | 実際より高い価格や数量で申請する | 相見積、原価、請求、値引き、返金記録 |
| キックバック・還流 | 販売者から申請者へ代金の一部を戻す | 銀行口座、ポイント、クーポン、関連契約 |
| 虚偽の労務記録 | 実際と異なる出勤、休業、賃金、雇用形態、訓練時間を申告 | 勤怠原本、給与振込、雇用保険、受講ログ |
| 重複受給 | 同じ経費を複数制度へ二重に計上 | 補助事業別経費台帳、請求書、仕訳 |
| 実績の偽装 | 未完成の成果物や未稼働設備を完了として報告 | 検収、写真、システムログ、利用実績 |
| 目的外使用 | 承認された補助事業以外へ資金・財産を使う | 交付決定、変更承認、財産台帳、利用記録 |
架空取引・水増し・キックバックを見抜く
架空取引や水増しでは、見積、請求書、振込記録が形式上そろっていても、設備が存在しない、価格に不自然な上乗せがある、支払後に現金や別契約で戻される等の実態があります。経理書類だけでなく、現物、成果物、利用者、資金の流れを確認します。
デジタル化・AI導入補助金2026の公式注意喚起は、ポイントやクーポン等により実質購入額と証憑記載額が一致しない場合を不正行為の例として示しています。補助対象者の自己負担分をIT導入支援事業者等が負担することや、導入費用の全部・一部を補助対象者へ戻すことにも注意が必要です。
値引き・返金・ポイントを実負担額へ反映する
請求書発行後の値引き、キャッシュバック、ポイント、無料サービス、別契約による補填があれば、実際の自己負担額が変わります。補助対象経費の算定にどう反映するか、支払前に事務局へ確認します。
取引先と申請支援者の関係を確認する
販売会社が指定する申請代行者、同一グループ内の複数見積、紹介料のある契約等では、価格と取引の独立性を確認します。成功報酬があることだけで不正とはいえませんが、受給額を増やすための虚偽提案や証憑操作は受け入れません。
雇用・勤怠・賃金・訓練の虚偽申請に注意する
雇用関係助成金では、雇入れ日、雇用形態、勤務日、休業日、賃金額、訓練時間、訓練費用等が支給要件と結び付きます。申請用に勤怠や賃金台帳を書き換える、実際には働いた日を休業扱いにする、対象外の人を対象者として申請する行為は不正受給につながります。
2026年に厚生労働省が公表した人材開発支援助成金の事案では、訓練会社から資金提供を受け、それを訓練経費の支払い原資とし、申請事業主が実質的に訓練経費の全額を負担していないにもかかわらず申請したことが問題となりました。191事業所、約20億円が不正受給認定され、期限までに全額返還しなかった42事業所も公表対象になりました。
申請用の表ではなく業務原本から確認する
助成金担当が作った集計表だけでなく、入退室、シフト、給与計算、銀行振込、雇用保険、受講システム等の元データと照合します。申請直前に作った記録だけで実態を説明しません。
研修会社からの資金提供・還元を受けない
訓練費の全部または一部を研修会社等が実質的に負担する提案、別契約で返金する提案、労働局へ実態と異なる説明をするよう求める提案は止めます。資料一式を保存し、労働局へ事前に相談します。
重複申請は同じ経費・対象者・期間で確認する
複数の補助金・助成金を利用すること自体が直ちに禁止されるわけではありません。しかし、同じ請求書の同じ費用、同じ従業員の同じ賃金・訓練期間等を重ねて申請できない制度があります。
制度名だけで重複を判定せず、対象経費、対象者、対象期間、国費・自治体費の財源、他制度利用欄を突き合わせます。一枚の請求書に複数事業の費用が含まれる場合は、根拠のある内訳に分け、同じ部分を二重計上しません。
| 確認軸 | 記録する内容 | 危険な状態 |
|---|---|---|
| 経費 | 請求書番号、品目、数量、税抜額 | 同じ明細を複数制度へ全額計上 |
| 対象者 | 従業員ID、雇用区分、対象賃金 | 同じ人・同じ賃金期間を重複申請 |
| 期間 | 契約、実施、勤務、訓練、支払期間 | 同じ日・時間を二つの支援対象にする |
| 財源 | 国、自治体、外郭団体、民間助成 | 他の国費利用を申告していない |
| 申告欄 | 他制度の申請・受給状況 | 申請中の制度を記載から外す |
申請代行者に任せても申請者の確認責任は残る
申請支援を専門家やコンサルタントへ委託しても、申請者は提出内容が自社の実態と一致するか確認する必要があります。「他社も同じ方法で通った」「事務局には分からない」「書類だけ合わせればよい」といった説明は、手続きを止める警戒サインです。
厚生労働省は、雇用関係助成金の申請に関わった役員、従業員、代理人等の不正を事業主等の不正とみなすと案内しています。不正に関与した社会保険労務士や代理人には、事業主との連帯返還、5年間の申請不受理、公表等が行われる場合もあります。
提出前に会社が最終版を受け取る
申請IDや電子署名を外部へ丸ごと預けず、提出前の全画面、添付資料、宣誓事項、提出日時を会社側で確認・保存します。空欄書類へ押印しません。
支援契約に記録返却と説明義務を入れる
支援者が収集・作成した資料、事務局との連絡、計算根拠を会社へ返すこと、虚偽・改変を行わないこと、調査時に協力することを契約で明確にします。
国の補助金で適用される主な取消・返還・罰則
国の補助金については、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律が基本的な枠組みを定めています。法令、交付決定の内容・条件、指示に違反した場合や、補助金を他の用途に使用した場合等には、交付決定の全部または一部が取り消され、既に交付された分の返還を命じられることがあります。
同法19条は、17条1項等による取消しに伴って返還を命じられた場合、受領日から納付日まで年10.95%で計算する加算金を定めています。納期までに納付しない場合の延滞金も別に定められています。制度の返還通知に記載された元金、加算金、延滞金、納期限を確認します。
同法29条は、偽りその他不正の手段で補助金等の交付を受けた者について、5年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、または併科を定めています。30条は目的外使用について3年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金、または併科を定めています。刑事責任の成立や適用罪名は個別事案で判断されます。
| 区分 | 法令上の内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 交付決定取消 | 違反・目的外使用等で全部または一部を取消し得る | 不正認定だけでなく交付条件違反も対象になり得る |
| 返還命令 | 取消部分について交付済み補助金の返還を命じ得る | 返還額・納期限は処分通知で確認 |
| 加算金 | 17条1項等の取消しに伴う返還で年10.95% | 単なる計算誤りの返還へ一律適用とは限らない |
| 延滞金 | 返還を納期限までに納付しない場合に発生 | 加算金と同じものではない |
| 不正受交付の罰則 | 5年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金または併科 | 刑事手続きは行政上の返還と別 |
| 目的外使用の罰則 | 3年以下の拘禁刑・50万円以下の罰金または併科 | 承認された用途・変更手続きを確認 |
自治体補助金・民間助成金へ国の数字を一律適用しない
補助金適正化法は国の補助金等に関する法律です。都道府県・市区町村の補助金は、自治体の補助金等交付規則、交付要綱、交付決定条件等に基づいて取消し・返還・加算等が定められます。民間財団の助成金も助成規程や契約条件が正本です。
自治体制度の記事で「不正受給なら年10.95%」「必ず5年間申請できない」と断定せず、申請した制度の要綱を確認します。国費を財源とする間接補助金では国のルールが関係する場合もあるため、実施機関へ確認してください。
交付要綱の取消・返還条項を保存する
申請時の要綱、交付決定通知、誓約書、変更・財産処分規定を保存します。制度ページが更新・削除されても、受給年度の条件を確認できるようにします。
雇用関係助成金の返還・20%相当額・5年措置
厚生労働省は雇用関係助成金の不正受給について、不正に受給した助成金の全額返還に加え、不正受給日の翌日からの延滞金、不正受給額の2割に相当する額の納付を案内しています。
さらに、不正受給決定日から5年間、不正を行った制度以外を含む雇用関係助成金を受給できず、全額返納されていない場合は期間が延長されます。公表基準に該当すれば事業主名・代表者名等が公表されます。
これらは雇用関係助成金の公式ルールです。設備投資系の国庫補助金や自治体制度へ「20%」「5年間」をそのまま当てはめず、各制度の根拠を分けて説明します。
| 措置 | 内容 | 確認先 |
|---|---|---|
| 全額返還 | 不正に受給した助成金を返還 | 厚生労働省・共通要領 |
| 延滞金 | 不正受給日の翌日からの延滞金 | 返還命令・共通要領 |
| 2割相当額 | 不正受給額の20%に相当する額を追加納付 | 厚生労働省の不正受給案内 |
| 不支給措置 | 不正受給決定日から5年間、雇用関係助成金を受給不可 | 未返納なら期間延長 |
| 公表 | 基準該当時に事業主名・代表者名等を公表 | 厚生労働省・労働局 |
| 関与者の責任 | 社労士・代理人等に連帯返還や申請不受理等 | 厚生労働省・共通要領 |
交付停止・登録取消・社名公表の可能性もある
返還以外に、所管省庁の補助金交付停止、契約の指名停止、制度上の支援事業者登録取消、事業者名公表等が行われる場合があります。処分の種類と期間は、所管省庁の措置要領や制度規程、事案の内容によって異なります。
経済産業省は、所管補助金に関する不正行為を確認した事業者について、補助金交付等停止と契約の指名停止を公表しています。2025年6月の公表事案では、人件費を過大請求した事業者に18か月の停止措置を行いました。すべての不正に18か月が適用されるわけではありません。
デジタル化・AI導入補助金の公式注意喚起も、不正と判断した場合の交付決定取消、返還請求、IT導入支援事業者登録取消、事業者名公表、警察への通報等を示しています。
不正受給はどのように発覚するか
不正は、申請・実績報告の書類審査、現地確認、事後調査、取引先・関係者への確認、他の申請との照合、内部通報、税務・労務記録との不一致等を契機に発覚します。入金が終わった後も調査対象になり得ます。
IT導入補助金では多数の不正受給事案を踏まえ、事務局が調査を実施し、不正が判明した場合の取消・返還・登録取消等を案内しています。雇用関係助成金でも労働局等が調査を行い、事業所名等の公表情報を更新しています。
書類保存がなければ正しい支出も説明できない
見積、契約、納品、請求、振込、成果物、勤怠、給与、研修ログを制度所定の期間保存します。正しく実施したつもりでも、調査時に実態を示せなければ返還等の問題につながる場合があります。
関係者の退職後も記録を残す
申請担当者や取引先担当者が退職しても説明できるよう、判断経緯、事務局照会、承認、提出版を会社の共有領域へ保存します。個人メールだけに残しません。
入力ミス・解釈違いに気付いたときの対応
誤りに気付いたら、申請データや原本を上書き・廃棄せず、誤った内容、正しい内容、発生日、発見日、関係者、支給額への影響、根拠資料を整理します。未提出なら提出を止め、提出済み・受給済みなら制度事務局へ連絡します。
故意ではないから連絡不要、少額だから次回調整すればよい、と自己判断しません。修正申請、取下げ、変更届、返還等のどの手続きが必要かは制度ごとに異なります。事実を正確に伝え、回答を記録します。
| 順番 | 行うこと | 避けること |
|---|---|---|
| 1 | 新たな提出・支払い・資料変更を止める | 辻褄を合わせるための書類改変 |
| 2 | 原本と提出版を保全する | メール・ログ・勤怠の削除 |
| 3 | 誤りと金額影響を時系列で整理する | 推測だけで故意・過失を断定 |
| 4 | 制度事務局へ事実を連絡する | 匿名情報だけで対応を決定 |
| 5 | 必要に応じ専門家へ相談する | 支援者本人だけに調査を任せる |
| 6 | 修正・取下げ・返還等の指示に従う | 他の申請へ同じ誤りを残す |
自主申告・自主返還の効果は制度ごとに違う
誤りや不正を自ら申し出ることは重要ですが、自主申告すれば必ず公表・加算・刑事責任を免れるとは限りません。調査着手前か、全額返還したか、事案の悪質性、制度の規定等によって扱いが異なります。
過去の持続化給付金等では、調査開始前に自主返還を申し出て返還を完了した場合、原則として加算金・延滞金を課さないという固有の運用が案内されています。この取扱いを現在のすべての補助金・助成金へ一般化できません。
雇用調整助成金にも自主申告に関する公表上の取扱いがありますが、要件があります。該当制度の窓口へ早期に連絡し、回答を記録してください。
返還前に金額と振込先の正式通知を確認する
誤った口座へ振り込まず、事務局が指定する返還方法、元金、加算・延滞、納期限、振込先を確認します。返還後は受領確認と処理完了記録を保存します。
調査・返還通知を受けたときの初動
調査連絡、資料提出依頼、現地確認、聴取、返還通知等を受けたら、期限と対象制度・申請番号を確認し、社内責任者を決めます。関連資料を保全し、事実と異なる説明や後付け資料を作らないことが最優先です。
不正受給の疑いが具体化している場合は、補助金・行政対応に詳しい弁護士へ早期に相談します。雇用関係助成金なら社会保険労務士、会計・税務修正なら税理士の知見も必要ですが、申請に関与した支援者との利益相反がないか確認します。
事務局との連絡窓口を一本化する
複数担当が異なる説明をしないよう、事実確認と提出を統括する窓口を決めます。ただし、現場・経理・人事の一次記録を隠さず、専門家へも原本を共有します。
資料提出の範囲と期限を一覧にする
依頼文書、対象期間、提出資料、形式、原本提示、回答期限を管理表へ転記します。不明点は期限前に問い合わせ、無断で提出を遅らせません。
不正受給を防ぐ申請前チェック
申請前は、申請資格、事業実態、経費、他制度利用、取引先・支援者、宣誓事項を別の担当者が確認します。申請担当者が一人で情報収集、入力、証憑作成、送信まで行う体制は、不正だけでなく単純ミスも見逃しやすくなります。
申請書の数値は、登記、決算、給与、勤怠、雇用保険、見積等の一次資料から転記し、参照元を残します。補助上限に合わせて事業費や従業員数を調整しません。
| 確認領域 | 作成担当が確認 | 承認担当が再確認 |
|---|---|---|
| 対象者 | 法人・事業所・規模・雇用要件 | 登記・決算・労務原本との一致 |
| 事業内容 | 実施内容・場所・期間・成果 | 現場計画・許認可との一致 |
| 経費 | 見積・仕様・数量・単価 | 価格妥当性・関連当事者・値引き |
| 他制度 | 申請中・受給済み制度 | 経費・対象者・期間の重複 |
| 提出内容 | 入力・添付・宣誓 | 一次資料と最終送信版の一致 |
事業実施中は取引と変更を月次確認する
交付決定後は、発注、納品、検収、請求、振込、成果物を取引番号でつなぎ、値引き、返品、返金、ポイント、仕様変更、納期変更を月次で確認します。実績報告直前にまとめて確認すると、事前承認が必要な変更へ対応できません。
雇用・研修系は、対象者ごとに雇用契約、勤怠、賃金、給与振込、受講時間、修了状況を照合します。申請用の台帳を元データから自動生成する場合も、例外処理と手修正履歴を残します。
変更承認と返金を同じ台帳で管理する
計画変更、取引先変更、減額、返金、キャンセルを別々のメールで管理せず、補助対象額への影響と事務局手続きを一つの台帳へ記録します。
実績報告前に申請・実績・支払いを三方向照合する
実績報告前は、交付決定・変更承認の内容、実際の納品・勤務・訓練・成果、請求・振込等の金銭記録を三方向で照合します。どれか二つだけが一致しても、残る一つが違えば理由と手続きが必要です。
値引きや返金を受けた後の実負担額、事業期間外の支払い、未稼働の設備、未修了の研修、対象外となった従業員等を除外します。補助額を維持するために不足証拠を作り直したり、実施日を変えたりしません。
| 交付決定・承認 | 事業の実態 | 金銭・労務記録 |
|---|---|---|
| 設備の型番・数量 | 現物・設置写真・稼働 | 請求・振込・固定資産台帳 |
| 外注の仕様・成果 | 納品物・作業記録・検収 | 契約・請求・振込 |
| 対象従業員・期間 | 勤務・休業・訓練実態 | 雇用契約・勤怠・給与振込 |
| 承認された変更 | 変更後の実施内容 | 変更後見積・請求・支払 |
外部支援者・販売会社を選ぶ警戒ポイント
不正受給を防ぐには、制度知識だけでなく、虚偽を提案しない支援者・取引先を選ぶ必要があります。採択率や受給額だけを強調し、対象可否や自己負担、実績報告、調査対応を説明しない業者には注意します。
実費負担がなくなる、後で代金を返す、見積を上限まで上げる、勤務表を書き換える、事務局には別の説明をする、といった提案は受けません。提案資料とやり取りを保存し、制度事務局へ確認します。
ここで確認するポイント
- 会社情報、資格、担当者、再委託先を確認する
- 申請対象・対象外と不採択時の費用を契約書へ明記する
- 申請者が最終版と送信結果を確認できる契約にする
- 見積、値引き、紹介料、返金、ポイントの全条件を開示させる
- 調査時の記録返却・説明協力を契約へ入れる
- 虚偽・改変・名義貸し・自己負担還流を禁止する
社内の不正受給防止ルールを作る
補助金・助成金ごとに担当が変わっても同じ水準で確認できるよう、申請、変更、実績報告、入金後の共通手順を作ります。制度の詳細条件は変わるため、社内マニュアルへ金額・期限を固定せず、参照する公式資料と確認日を記録します。
申請者、作成者、承認者、支払担当を可能な範囲で分け、不正提案や誤りを報告できる窓口を設けます。申告した従業員が不利益を受けないよう、内部通報と証拠保全のルールも確認します。
補助事業別台帳を全社で統一する
制度名、申請番号、担当、公式資料、経費、対象者、交付決定、変更、支払い、報告、保存期限を一つの台帳で管理します。他制度の申請時は台帳から重複を検索します。
申請後も定期的に内部監査する
交付決定後、実績報告前、入金後の三時点で、申請に関与していない担当が一次資料を抜き取り確認します。問題があれば範囲を広げ、早期に事務局へ相談します。
補助金・助成金の不正受給に関するよくある質問
ここでは一般的な整理を示します。個別事案の不正認定、返還額、行政処分、刑事責任は、申請した制度の規程と事実関係に基づいて判断されます。
記入ミスでも不正受給になりますか
誤りの内容、故意性、支給への影響、発見後の対応等で扱いが異なります。ミスだから連絡不要と判断せず、原本を保存して制度事務局へ伝えます。
補助金を返還すれば刑事責任はなくなりますか
返還しても刑事責任が当然になくなるとは限りません。行政上の返還と刑事手続きは別です。疑いがある場合は早期に弁護士へ相談します。
すべての補助金で20%を追加返還しますか
一律ではありません。雇用関係助成金では不正受給額の2割相当額が公式に案内されていますが、国庫補助金、自治体補助金、給付金で根拠と計算が異なります。
不正受給すると5年間すべての補助金を申請できませんか
雇用関係助成金では不正受給決定日から5年間、他の雇用関係助成金を含め受給できない措置があります。すべての国・自治体補助金に同一の5年ルールがあるわけではありません。
申請代行者が虚偽を書いた場合も会社の不正ですか
雇用関係助成金では、代理人等の申請関係者が不正を行った場合も事業主等の不正とみなすと案内されています。他制度でも申請者は提出内容を確認し、虚偽に気付いたら送信を止めます。
自主返還すれば公表されませんか
制度と要件によって異なり、必ず非公表になるとはいえません。調査前の自主申告等に個別の取扱いがある制度もあるため、速やかに公式窓口へ相談します。
不正受給を防ぐ最終チェックリスト
申請前、交付決定後、実績報告前の各段階で確認します。一つでも説明できない項目があれば提出や支払いを止め、一次資料と制度公式情報へ戻ります。
ここで確認するポイント
- 申請資格を登記・決算・雇用等の一次資料で確認した
- 取引・雇用・勤務・訓練・成果が実在する
- 見積金額と実際の自己負担額が一致する
- 値引き・返金・ポイント・無料提供を隠していない
- 販売者・支援者から自己負担分の還流を受けていない
- 同じ経費・対象者・期間を他制度へ重複計上していない
- 申請内容を取引・労務・会計の各担当が照合した
- 申請代行者が作成した最終版を会社が確認した
- 交付決定後の変更・遅延を事前に相談した
- 見積から振込・成果までの証拠を保存した
- 誤りを見つけたときに原本を変更・削除していない
- 制度事務局への照会と回答を記録した
- 調査・返還・保存期限を全社台帳で管理した
申請前チェックリスト
- 申請内容を取引・労務・会計の一次記録と照合した
- 値引き・キックバック・自己負担還流・重複計上がない
- 外部支援者が作った最終版を申請者が確認した
- 誤りに気付いたら資料を保全して事務局へ連絡した
- 制度別の返還・加算・公表・申請制限を公式規程で確認した
次に確認するページ
公式情報・出典
制度内容や日程は改定される場合があります。申請前に最新版をご確認ください。
