キャリアアップ助成金の対象者・申請条件【2026年度】
2026年度のキャリアアップ助成金について、対象事業主・対象労働者、5コースの違い、正社員化コースの支給額、申請期限、不支給を防ぐ確認点を公式資料に基づいて解説します。
この記事でわかること
- 有期雇用・短時間・派遣などの非正規雇用労働者を正社員化し、または処遇を改善する事業主向けの助成金です。
- 各コースの実施日の前日までに、キャリアアップ計画の作成・提出が必要です。
- 正社員化コースは転換前後の雇用区分、就業規則、6か月分の賃金、3%以上の賃金増額を一続きで確認します。
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キャリアアップ助成金を使える可能性がある事業主
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの正社員化や処遇改善を行う事業主を支援する制度です。従業員本人が申請して受け取る制度ではなく、雇用する事業主が申請します。
全コース共通で、雇用保険適用事業所の事業主であること、事業所ごとにキャリアアップ管理者を置くこと、対象労働者に関するキャリアアップ計画を作成して管轄労働局長へ提出することなどが求められます。労働条件、勤務状況、賃金の支払いを確認できる法定帳簿も必要です。
アルバイトや契約社員を正社員へ転換したい会社、非正規雇用労働者の基本給を3%以上引き上げたい会社、賞与・退職金制度を新設したい会社は検討対象です。ただし、実施済みの転換や賃上げを後から申請する制度ではありません。
| 確認項目 | 見る内容 | 社内で確認する資料 |
|---|---|---|
| 事業主 | 雇用保険、労働保険料、法令違反、不支給要件 | 適用事業所台帳、納付状況 |
| 対象労働者 | 転換前の雇用区分、雇用期間、週所定労働時間 | 雇用契約書、労働者名簿 |
| 取組 | 正社員化、賃上げ、制度導入、労働時間延長のどれか | 就業規則、賃金規定 |
| 日付 | 計画提出、制度改定、転換、賃金支払、支給申請 | 工程表、提出控え、賃金台帳 |
2026年度の5コースを目的別に選ぶ
2026年度の案内では、正社員化コース、賃金規定等改定コース、賃金規定等共通化コース、賞与・退職金制度導入コース、短時間労働者労働時間延長支援コースが示されています。障害のある有期雇用労働者等の転換は、障害者正社員化コースの別資料で確認します。
「どのコースが最も高いか」から選ぶのではなく、実施したい処遇改善を先に決めるのが基本です。正社員へ転換するなら正社員化、雇用区分を変えず基本給を引き上げるなら賃金規定等改定というように、実際の人事施策と制度を一致させます。
| コース | 主な取組 | 申請前の重点確認 |
|---|---|---|
| 正社員化 | 有期・無期雇用労働者等を正社員へ転換 | 転換規定、対象者の雇用歴、転換後賃金 |
| 賃金規定等改定 | 有期雇用労働者等の基本給を3%以上増額 | 改定率、対象人数、適用日 |
| 賃金規定等共通化 | 正社員と共通の職務等に応じた賃金規定を新設・適用 | 正社員側との対応関係 |
| 賞与・退職金制度導入 | 対象者全員に制度を設け、支給または積立て | 制度内容と実際の支給記録 |
| 短時間労働者労働時間延長支援 | 社会保険適用と収入増加の取組 | 適用日、延長時間、賃金増加率 |
正社員へ転換するなら正社員化コース
契約社員やパート等を正社員へ転換する取組が対象です。転換後の呼称だけでなく、期間の定め、賃金、賞与、退職金、昇給などが正社員として整っているかを確認します。
基本給を一律に引き上げるなら賃金規定等改定コース
有期雇用労働者等に適用する基本給の賃金規定を3%以上増額改定する取組です。対象者の一部だけを恣意的に除かず、改定前後の規定と賃金台帳で適用を示します。
正社員と共通の賃金表を作るなら賃金規定等共通化コース
職務等に応じて正社員と共通する賃金規定を新たに設け、対象となる有期雇用労働者等へ適用します。単に時給をそろえるだけでなく、共通化する職務区分と賃金決定方法を明記します。
賞与・退職金を新設するなら制度導入コース
就業規則または労働協約に制度を定めるだけでなく、対象者へ実際に賞与を支給し、または退職金を積み立てた記録が必要です。対象者全員に適用する制度かを確認します。
社会保険加入と収入増を進めるなら労働時間延長支援コース
短時間労働者を新たに社会保険へ適用し、労働時間の延長等によって収入を増やす場合のコースです。延長時間と賃金増加率の組合せ、小規模企業等の区分を専用パンフレットで確認します。
正社員化コースの対象者と支給額
正社員化コースでは、就業規則または労働協約等に定めた制度に基づいて、有期雇用労働者等を正社員へ転換します。転換日の6か月以前から、正規雇用労働者とは異なる雇用区分の就業規則等が適用されていることなど、対象労働者側にも複数の要件があります。
2026年度の中小企業における1人当たり支給額は、重点支援対象者を有期雇用から正社員へ転換する場合80万円、無期雇用から転換する場合40万円です。重点支援対象者以外は、有期から40万円、無期から20万円です。大企業は別額で、1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人です。
重点支援対象者には、雇入れから3年以上の有期雇用労働者、一定の正規雇用歴要件を満たす雇入れ3年未満の有期雇用労働者、派遣労働者、母子家庭の母等、対象となる訓練の修了者などが含まれます。名称だけで該当と判断せず、パンフレットにある各要件を労働者ごとに確認してください。
| 転換前 | 重点支援対象者 | それ以外 |
|---|---|---|
| 有期雇用 | 80万円(40万円×2期) | 40万円(1期) |
| 無期雇用 | 40万円(20万円×2期) | 20万円(1期) |
| 有期雇用(大企業) | 60万円(30万円×2期) | 30万円(1期) |
| 無期雇用(大企業) | 30万円(15万円×2期) | 15万円(1期) |
申請期限は転換日ではなく賃金支払後から数える
各コースの実施日の前日までに、労働組合等の意見を聴いて作成したキャリアアップ計画を提出します。正社員化コースで転換規定がない場合は、転換前に就業規則等を改定し、その規定に基づいて転換しなければなりません。
正社員へ転換した後は6か月分の賃金を支払い、転換前6か月と比べて3%以上増額していることを確認します。支給申請は、取組後6か月の賃金を支払った日の翌日から起算して2か月以内です。
月末締め翌月25日払いの会社では、転換日だけをカレンダーへ登録しても足りません。転換後6か月目の賃金対象期間、実際の支払日、支給申請期間の開始日と末日を給与担当者と申請担当者で共有します。
| 段階 | 行うこと | 期限管理のポイント |
|---|---|---|
| 取組前 | キャリアアップ計画と必要な規定を整える | 実施日の前日までに計画提出 |
| 転換 | 規定に基づき正社員へ転換する | 契約書と辞令の日付を一致 |
| 転換後 | 6か月分の賃金を支払う | 3%以上の増額を確認 |
| 支給申請 | 申請書と証拠書類を提出する | 6か月目の賃金支払日の翌日から2か月以内 |
計画提出は各コース実施日の前日まで
キャリアアップ計画は事業所ごとに作成し、労働組合等の意見を聴いたうえで提出します。郵送の場合は到達日、電子申請の場合は受付状況を確認し、提出控えを保存します。
就業規則の改定を転換より先に行う
正社員転換制度がない会社は、対象者を転換する前に規定を整えます。常時10人以上を雇用する事業場では、労働基準監督署への届出日も確認してください。
転換後6か月の賃金を比較する
転換前後の賃金には、比較へ含める手当と含めない手当があります。基本給だけで3%を判断せず、パンフレットの賃金計算方法に沿って対象者ごとに試算します。
支給申請の2か月を給与支払日から数える
転換日の6か月後が直ちに申請初日になるとは限りません。6か月分の賃金を支払った日の翌日を起点とし、休日を含む申請期間を労働局へ確認します。
正社員化コースの判定例
たとえば、中小企業が2年間雇用した有期契約社員を2026年10月1日に正社員へ転換する計画を立てるとします。まず、対象者が重点支援対象者に該当するか、転換規定が転換前に整っているか、転換前6か月の雇用区分と賃金を確認します。
雇入れ3年未満だから自動的に重点支援対象外になるわけではありません。過去5年間と過去1年間の正規雇用歴など、2026年度パンフレットの条件を確認します。重点支援対象者でなければ、中小企業の有期雇用からの転換は40万円区分が基準です。
支給見込み額は支給決定を保証しません。計画、就業規則、雇用契約、勤怠、賃金台帳の内容にずれがあれば、不支給や減額の可能性があります。
申請に備えてそろえる書類
正社員化コースでは、キャリアアップ計画書、転換制度を定めた就業規則等、転換前後の雇用契約書または労働条件通知書、賃金台帳、出勤簿などを使って要件を確認します。支給申請書だけを作るのではなく、普段の人事・給与記録が申請内容と一致していることが重要です。
提出する出勤簿や賃金台帳は、事業場で調製している法定帳簿の原本または原本を機器で複写したものが必要です。原本から転記・加工した資料であることが明らかになると、不支給となる旨が2026年度パンフレットに記載されています。
助成金の申請を外部へ依頼しても、事業主名で提出する申請内容の責任は事業主に残ります。対象者本人への確認、給与計算との突合、提出版の保存まで社内で行ってください。
書類の確認ポイント
- キャリアアップ計画と提出控え
- 転換または制度導入を定めた就業規則・労働協約
- 転換前後の雇用契約書・労働条件通知書
- 対象期間の賃金台帳と出勤簿
- 支給申請書、添付書類一覧、提出したファイル一式
不支給につながりやすい5つのずれ
最も避けたいのは、計画提出前に転換や賃上げを実施する順序のずれです。各コースの実施日の前日までという基準に間に合わない場合、後から計画を作っても対象になるとは限りません。
次に多いのが、就業規則では正社員、雇用契約書では期間あり、給与システムでは別の区分という記録のずれです。正社員の定義、賞与・退職金、昇給、転勤範囲なども含め、社内制度と実態を一致させます。
年度途中に要件や様式が変わることがあります。2026年4月1日から7日までの取組と4月8日以降の取組では申請様式の掲載先が分かれているため、取組日と対応する様式を選んでください。
見落としやすい注意点
- キャリアアップ計画を実施日の後に提出した
- 規定にない方法で正社員転換を行った
- 転換前後6か月の賃金が3%以上増えていない
- 契約書、就業規則、勤怠、賃金台帳の記載が一致しない
- 賃金支払後の2か月の申請期間を過ぎた
中小企業・大企業の区分を確認する
支給額は中小企業か大企業かで異なります。小売業は資本金5,000万円以下または常時雇用50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、その他の業種は3億円以下または300人以下が中小企業の基準です。
資本金等のない事業主は常時雇用する労働者数で判定します。企業全体と事業所単位を混同せず、支給申請時点の資本金・人数を資料へ残してください。
他の助成金との併給を確認する
同じ労働者、同じ転換、同じ期間を対象に複数の雇用関係助成金を申請すると、一方しか支給されない場合があります。人材開発支援助成金の訓練後に正社員化するケースなどは、対象行為と期間を分けて労働局へ確認します。
自治体がキャリアアップ助成金の支給決定を条件に独自の上乗せ支援を行う場合もあります。国の支給決定通知、自治体側の申請期限、同一経費の扱いをそれぞれ確認してください。
申請前に労働局へ確認したいケース
過去に正社員だった労働者を再び正社員化する場合、派遣先で直接雇用する場合、親族や役員と関係する労働者、就業規則上の正社員区分が複数ある場合は、対象判定が複雑になります。
相談時は「対象になるか」だけでなく、雇入れ日、雇用契約の更新履歴、転換予定日、賃金比較、就業規則の該当条文を提示すると、確認すべき要件を具体化できます。
キャリアアップ助成金のよくある質問
パートやアルバイトでも対象になる可能性はあります。ただし、呼称ではなく、有期雇用労働者等の定義、雇用保険、雇用期間、転換前後の労働条件を確認します。
正社員へ転換すれば必ず80万円になるわけではありません。80万円は中小企業が有期雇用の重点支援対象者を転換した場合の区分であり、対象者区分、転換前の雇用形態、企業規模で金額が変わります。
電子申請も利用できますが、申請方法が変わっても必要な記録は同じです。2026年度の取組日と対応する申請様式を厚生労働省ページで確認してください。
パート・アルバイトも対象になりますか
呼称ではなく、有期雇用労働者等の定義、雇用保険、転換前の雇用期間、適用されていた就業規則で判断します。短時間で働いていることだけを理由に対象外とは決まりません。
正社員化すれば80万円ですか
80万円は中小企業が有期雇用の重点支援対象者を転換した場合の額です。重点支援対象者以外、無期雇用からの転換、大企業では別額になります。
社会保険適用の処遇改善にはどのコースを使いますか
2026年度は短時間労働者労働時間延長支援コースが案内されています。旧年度の社会保険適用時処遇改善コースの記事を参照せず、取組日と最新パンフレットを照合してください。
申請前チェックリスト
- 対象労働者の転換前雇用区分と雇用歴を確認した
- 実施日の前日までにキャリアアップ計画を提出できる
- 就業規則等に実施する転換・制度の根拠がある
- 正社員化後6か月の賃金を転換前と比較できる
- 6か月目の賃金支払日の翌日から2か月以内を管理している
- 2026年度の取組日に合う様式を選んだ
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公式情報・出典
制度内容や日程は改定される場合があります。申請前に最新版をご確認ください。
