外国人雇用に使える助成金【2026年】対象経費と申請条件
外国人労働者就労環境整備助成コースの2026年度要件を中心に、1制度20万円・上限80万円、必須の環境整備措置、対象経費、離職率、計画提出期限、外国人雇用の届出を公式資料に基づいて解説します。
この記事でわかること
- 外国人を採用しただけで支給される助成金ではなく、多言語化や相談体制などを新たに整え、職場定着へ取り組む企業向けです。
- 雇用労務責任者の選任と就業規則等の多言語化に加え、3つの選択措置から少なくとも1つを導入・実施します。
- 2026年度は1制度導入につき20万円、上限80万円。計画は開始日の6か月前から1か月前までに提出します。
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外国人を採用しただけでは助成対象にならない
外国人雇用に特化した国の制度として確認したいのが、人材確保等支援助成金の外国人労働者就労環境整備助成コースです。この制度は採用人数に応じて支給されるものではなく、言語や雇用慣行の違いに配慮した就労環境を新たに整え、外国人労働者の職場定着へ取り組む事業主を支援します。
対象となる中心は、雇用保険被保険者となる外国人労働者を雇用している事業主です。特別永住者と在留資格「外交」「公用」は、このコースでいう対象外国人労働者から除かれます。
外国人を新規採用する予定があるだけで、まだ対象外国人労働者を雇用していない場合や、既にある翻訳済み規程を変更せず使うだけの場合は、まず支給要件とのずれを確認してください。
| 確認項目 | 見る内容 | 確認資料 |
|---|---|---|
| 事業主 | 雇用保険、労働保険料、法令順守、過去の受給 | 適用事業所・納付資料 |
| 外国人労働者 | 雇用保険被保険者、在留資格、雇用期間 | 在留カード、雇用契約、被保険者記録 |
| 整備措置 | 必須2措置と選択1措置以上を新たに導入 | 計画書、規程、翻訳物 |
| 定着 | 実施後の離職率と継続雇用者 | 労働者名簿、離職記録 |
対象となる事業主と外国人労働者
助成金は企業単位で申請します。複数事業所があっても事業所ごとに別々の上限が設定される制度ではなく、本社所在地を管轄する都道府県労働局が提出先です。
対象外国人労働者は、申請事業主に雇用され、雇用保険被保険者となる外国人です。在留資格が就労可能かどうか、資格外活動の範囲を超えていないかという入管法上の確認は、助成金とは別に必要です。
計画期間内に退職予定の外国人だけを対象とする計画は支給対象になりません。計画提出日から離職率算定期間末日まで継続して雇用される外国人労働者が1人以上必要です。
企業単位で申請する
支店ごとに別計画を出すのではなく、企業全体の対象者と整備措置を整理します。複数拠点で言語や就業規則が異なる場合は、どこへ何を導入するかを計画書に明記します。
雇用保険被保険者である外国人が対象
国籍だけで判断せず、雇用保険の資格取得、在留資格、就労範囲を対象者ごとに確認します。短時間勤務などで雇用保険に加入していない人だけを対象にした計画は、要件と一致しません。
計画後も継続雇用する人が必要
退職予定者だけのために翻訳する計画ではなく、今後も働く外国人が制度を利用できる環境として整えます。離職率と継続雇用の記録が審査に使われます。
必須2措置と選択1措置以上を導入する
認定を受けた就労環境整備計画に基づき、雇用労務責任者の選任と就業規則等の多言語化を必ず行います。さらに、苦情・相談体制、一時帰国のための休暇制度、社内マニュアル・標識類等の多言語化のうち、少なくとも1つを新たに導入・実施します。
翻訳する言語は、雇用する外国人が理解できる言語を基準にします。既存の文書を機械翻訳して置くだけでなく、労働条件や相談方法を本人が理解でき、実際に利用できる状態を作ります。
| 区分 | 措置 | 実施 |
|---|---|---|
| 必須 | 雇用労務責任者の選任 | 必ず導入・実施 |
| 必須 | 就業規則等の多言語化 | 必ず導入・実施 |
| 選択 | 苦情・相談体制の整備 | 3つから1つ以上 |
| 選択 | 一時帰国のための休暇制度 | 3つから1つ以上 |
| 選択 | 社内マニュアル・標識類等の多言語化 | 3つから1つ以上 |
雇用労務責任者を選任する
外国人労働者からの相談、就業規則の説明、職場との調整を担当する責任者を明確にします。氏名だけを決めず、役割、相談方法、周知記録を残します。
就業規則等を多言語化する
賃金、労働時間、休日、退職、服務規律など、労働条件に関わる社内規程を対象者が理解できる言語へ翻訳します。日本語版との内容のずれがないかも確認します。
相談・休暇・標識から追加措置を選ぶ
自社で生じている課題に合わせて選びます。相談経路がない会社は相談体制、帰国時の休暇調整が課題なら休暇制度、安全表示が読めない職場なら標識・マニュアルの多言語化を検討します。
2026年度の支給額は1制度20万円・上限80万円
2026年4月1日版の公式案内では、受給要件をすべて満たすと1制度導入につき20万円、上限80万円が支給されます。支払った経費の一定割合を精算する旧年度の記事とは制度設計が異なるため、2026年度の計画には最新額を使ってください。
必須措置と選択措置を実施すれば必ず上限80万円になるわけではありません。「制度導入」の数え方、計画内容、実施状況、離職率などを審査した結果で支給額が決まります。
助成金は措置の導入前に入金されません。翻訳や専門家委託に必要な費用を自社で支払い、支給申請後の審査に備える資金計画が必要です。
計画提出から支給申請までの期限
就労環境整備計画は、計画期間の初日からさかのぼって6か月前の日から1か月前の日までに提出します。郵送の場合は期限までの必着なので、発送日だけで管理しないでください。
計画の認定後に措置を導入・実施し、原則として実施日の翌日から6か月間の外国人労働者離職率を計算します。その算定期間が終わった後、2か月以内に支給申請します。
離職率は原則15%以下であることが必要です。算定期間初日の外国人労働者が2人以上10人以下の場合は、離職者数1人以下という基準も確認します。
| 段階 | 行うこと | 期限・基準 |
|---|---|---|
| 計画 | 就労環境整備計画を作成・提出 | 初日の6か月前から1か月前 |
| 導入 | 認定後に必須・選択措置を導入 | 計画期間内 |
| 実施 | 対象者へ周知し、制度を運用 | 計画どおりに実施 |
| 定着確認 | 外国人労働者の離職率を計算 | 原則6か月、15%以下 |
| 支給申請 | 申請書と証拠書類を提出 | 算定期間終了後2か月以内 |
対象経費と契約・支払いの注意点
外部の機関や専門家へ委託した通訳費、翻訳機器導入費、翻訳料、弁護士・社会保険労務士等への委託料、多言語の社内標識類の設置・改修費などが、対象経費として考えられると公式ページに示されています。
ただし、計画提出前に外部機関へ委託したり、預かり金を含む費用の一部または全部を支払ったりすると、支給対象になりません。計画認定後に契約すればよいか、見積取得・発注・着手・支払いの各時点を契約前に労働局へ確認します。
外部機関への支払いは、原則として就労環境整備計画期間内に完了させます。請求書の名目だけでなく、どの措置のための翻訳・委託かを示せる内訳を残してください。
翻訳・通訳の範囲を明確にする
翻訳する規程名、ページ数、言語、対象者を見積書と納品物で対応させます。一般的な採用パンフレットの翻訳だけでは、就労環境整備措置との関係が不明確になります。
専門家委託は助成対象業務を分ける
在留資格手続、採用仲介、給与計算など別業務を同じ契約へ入れる場合は、助成対象となる就労環境整備部分の金額と成果物を区分します。
計画提出前の発注・支払いを避ける
助成金を知る前に発注済みだった翻訳は、後から対象へ入れられない可能性があります。契約書、発注書、振込日を計画提出日と突合します。
外国人雇用の法令手続は助成金と別に行う
助成金の計画が認定されても、在留資格の範囲外で就労させることはできません。採用時は在留カードの有効期限、就労制限、資格外活動許可を確認し、業務内容と対応させます。
外国人を雇い入れ、または離職したときは、外国人雇用状況の届出が必要です。雇用保険被保険者の場合とそれ以外では届出方法・期限が異なるため、ハローワークの案内を確認します。
国籍を理由に賃金、教育、安全配慮などで不合理な差を設けることはできません。多言語化は日本人向け規程と異なる条件を作る作業ではなく、同じ労働条件を理解できるようにする取組です。
在留資格と業務内容を照合する
在留資格名だけで就労可能と決めず、指定書や資格外活動許可を含め、実際に担当させる業務が範囲内か確認します。
外国人雇用状況を届け出る
氏名、在留資格、在留期間などを確認し、雇入れ・離職の都度、所定の方法でハローワークへ届け出ます。助成金申請が届出の代わりにはなりません。
日本語版と翻訳版の内容を一致させる
就業規則を改定したら翻訳版も更新し、改定日と版番号を管理します。古い翻訳版が現場に残らない運用も決めます。
利用を検討しやすい3つのケース
製造現場で安全マニュアルと標識が日本語だけになっている会社は、就業規則の多言語化に加えて、標識・マニュアルの多言語化を選択措置として検討できます。
外国人従業員が労働条件を相談できず、現場責任者ごとに対応が違う会社は、雇用労務責任者を定め、相談体制と記録方法を整える取組が考えられます。
母国への一時帰国をめぐって休暇取得のルールが曖昧な会社は、対象者が利用できる休暇制度を就業規則等へ定め、周知・運用するケースを検討できます。
安全表示を読めない製造現場
対象言語、危険箇所、作業手順を洗い出し、標識とマニュアルを同じ用語で翻訳します。単なる掲示物ではなく、安全教育で実際に使います。
相談窓口が担当者任せの会社
相談先、受付方法、通訳方法、記録と秘密保持を決め、外国人労働者へ理解できる言語で周知します。
一時帰国休暇のルールがない会社
取得条件、申請時期、対象日数、業務引継ぎを規程化します。特定の外国人だけに口頭で認める運用ではなく、制度として導入します。
支給申請に備えて残す書類
就労環境整備計画、認定通知、対象外国人労働者名簿、雇用契約・雇用保険・在留資格の確認資料、導入した規程、翻訳物、周知記録、相談体制の資料を保存します。
経費が発生した場合は、見積書、契約書、請求書、振込記録、納品物を整備措置ごとにひも付けます。離職率の算定に使う雇入れ・離職日も、届出と労働者名簿で一致させます。
書類の確認ポイント
- 就労環境整備計画書と認定通知書
- 対象外国人労働者の雇用・雇用保険・在留資格資料
- 日本語版と多言語版の就業規則・社内規程
- 相談窓口、休暇制度、標識・マニュアルの導入資料
- 見積、契約、請求、振込、納品物
- 周知記録と離職率算定の基礎資料
不支給につながりやすい5つのずれ
計画提出前に翻訳業者へ発注・支払いを行うと、対象外になる可能性があります。また、認定された計画と違う言語・文書・制度を導入した場合も、変更手続の要否を確認しなければなりません。
制度を紙で作っただけで外国人労働者へ周知していない、相談窓口が機能していない、翻訳版が日本語版より古いという実態のずれも避けます。
支給申請時には離職率と継続雇用が確認されます。採用数だけを増やして定着支援を行わなければ、この助成金の目的と合いません。
見落としやすい注意点
- 計画提出前に対象業務を委託・発注・支払いした
- 必須2措置または選択措置が不足している
- 翻訳しただけで対象者へ説明・周知していない
- 日本語版と多言語版の規程内容が一致しない
- 離職率15%以下や継続雇用の要件を満たさない
外国人雇用助成金のよくある質問
外国人を雇えば1人につき助成される制度ではありません。外国人特有の事情に配慮した就労環境整備を新たに導入し、定着要件を満たす企業向けです。
自治体にも外国人の住居、日本語学習、資格取得、環境整備を支援する制度があります。国のコースとは対象経費と地域条件が異なるため、所在地の制度を別に検索してください。
外国人を1人採用すれば20万円ですか
違います。20万円は対象となる1制度を導入し、全要件を満たした場合の支給額です。採用人数に単純連動する金額ではありません。
既に翻訳済みの就業規則も対象ですか
このコースは措置を新たに導入することが基本です。計画提出前に完成・支払い済みの翻訳を後から対象にできるとは考えず、労働局へ確認してください。
特定技能・技能実習なら必ず対象ですか
在留資格名だけでは決まりません。雇用保険被保険者、対象外資格、整備措置、計画提出、離職率などの要件を満たす必要があります。
申請前チェックリスト
- 対象となる外国人が雇用保険被保険者である
- 必須2措置と選択1措置以上を新たに導入する
- 計画開始日の6か月前から1か月前までに提出できる
- 計画提出前に委託・発注・支払いをしていない
- 離職率15%以下と継続雇用者を確認できる
- 外国人雇用状況の届出と在留資格確認を別途行っている
- 日本語版と多言語版の規程を同時に更新できる
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公式情報・出典
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